夫婦愛の感性
夫婦愛については「プライベート」なものだと捉える人が多い。しかし、本来は夫婦愛は「パブリック」な要素も持ち合わせている。
結婚する目的は大きく分けると2つある。1つ目は「子供をつくること」だ。これについては責任が伴うことは言うまでもない。しかし、「夫婦が愛し合うこと」も結婚の目的の1つだ。そして、こちらについても夫婦双方に責任が生じる。もっとも、この責任意識が希薄な人が多い。
愛は責任である。その責任を果たしていなければ「債務不履行」になる。この感覚がないと、公の場で夫婦関係をどのように語るべきか否かが分からなくなる。夫婦仲が悪いことが「債務不履行」になると分かっている人は、公の場で「私たちは愛し合っている」というメッセージを発信するためにもプライベートな空間で努力するはずだ。
この感覚は日本で生きているだけでは到底身につかない。実践することによって、そして配偶者とどれだけ真剣に向き合うのかによって決まる。
人生の基盤
人生の基盤に据えるものは、以下の条件を備えていなければならない。
① 感じられるもの
② 自分で変えられる
たとえば、学歴やお金は人生の基盤にはならない。それは「感じられないから」だ。感じることができないものは手段としての機能しかない。手段を基盤に据えても人生は安定しない。
また、自然や宗教も人生の基盤にならない。それは「自分で変えられない」からだ。自分で変えられないものを人生の中心に据えてしまったら、他力本願になってしまう。そういう人生が主体的なものになることはない。
人生のビジョンについて
人生のビジョン、ようするに「大切にしたいこと」については、中長期的な視野に立って考えないほうが良い。足元で自分ができること、感動したことをちゃんと言葉にして、それが永遠に続くことを心から願えるかどうかのほうが重要だ。
自分の根幹には「夫婦愛」がある。奥さんと美味しい食事を食べる。一緒に自宅の中で過ごす。そういう「ありきたりな瞬間」こそが最高の贅沢だと思う。この贅沢をずっと満喫していたいと思う。
そういう「身近に想像できる幸せ」をどうやって守っていくのか。どうやったら、もっと楽しくなるのか。それを「いま・ここ」で真剣に考えて、実行できるかどうか。ただそれだけのことで、大層な話ではない。
ただ、身近に想像できる幸せを構成する要素はさまざまだ。健康やお金、仕事への時間配分。そういうものを常にバランス感覚をもって総覧できる状態にしておく必要がある。経営におけるダッシュボードのようなものをつくって「夫婦愛」に資する生活が実勢できているかをチェックする必要がある。
必要なのは「チェック機能」であって、個別要素についての目標を達成することではない。人間はそんなに器用ではない。シンプルにすることが。目指すのは「夫婦愛」だけだ。それ以外は単なる手段である。
やりたいことを実行する方法
先生:さて、今日はどのようなご相談でしょうか?
太郎:やりたいことを、実際にやることについてですね。
先生:以前、太郎さんはやりたいことについて次のように示してくれましたね。
① 好き+役立つ:仕事で今よりも効果的な方法について考える
② 嫌い+役立つ:他人が必要としている知識を教えるための文章を書く
③ 好き+無意味:好きなように文章を読んだり書いたり、奥さんと映画を見る
④ 嫌い+無意味:細かい事務作業のケアレスミスを直す、飲み会に出席する
太郎:そうですね。そして、今日お話したいのは、僕がやりたいのは①と③なので、これを実際にどうやって実行したらいいのかを考えてみたいんです。
先生:やりたいのだから、やってみればいいじゃないか、ということではないのでしょうか。
太郎:なんだろう。もっと、目標をもってやってみたいと思います。こういうふうになりたいなっていう具体的な理想を描きたいというか。
先生:そうなんですね。たとえば、太郎さんは仕事で今よりも効果的な方法について考えることが「好き+役立つ」から「やりたい」わけですが、これについては、どんな理想があるのでしょうか?
太郎: そうですね。たとえば、月に1つは、効率が上がる提案をしたいです。最近は「業務改善士」と名乗って仕事をする人も出てきましたが、そういうのもいいかもしれない。
先生:太郎さんは、業務改善士と名乗れたら、なんだかワクワクするのでしょうか?
太郎:う〜ん。そういうわけではないかもしれないですね。それに、目指すものではないのかもしれないし。。。「何か」を目指さないほうがいいのかなあ。
先生:具体的に「コレ」という職業や未来像がないならば、無理をして理想像を描くと「ウソ」になってしまうかもしれません。それよりも、「いま」やってみたいことを実行に移してみてはどうでしょう。その気持ちは「ホント」ですし、それを積み重ねていったら、自ずと思い描いた自分に近づくかもしれません。
太郎:あえて目標を持たずに、やりたいことを積み重ねるということですね。
先生:そうですね。いま、具体的にやってみたいことって、あるのでしょうか?
太郎:企画を打って、それについて考える時間をつくりたいですね。でも、実際は、普段の仕事を優先してしまって、あんまりできてないところがあります。
先生:そうなんですね。やりたいことなんだけど、優先順位が低くなってしまう。
太郎:そうですね。だから、優先順位を高くするために、スケジュールにあらかじめ予定を入れてしまうのが良いのかもしれません。
先生:スケジュールは、どのように管理するのでしょうか?
太郎:Googleカレンダーに日々の予定を入れるようにしています。30分単位で、早朝に今日1日の予定をつくるんです。ただ、既存の仕事について時間を割り振っているという感覚が強いですね。
先生:そしたら、どこかに「やりたいこと」をやる時間をつくるのが良さそうですね。
太郎:そうですね。週4時間くらい、自分の「やりたいこと」に専念する時間を強引につくってみようかな。もちろん、臨機応変に対応するのですが。
先生:どうすれば、時間をつくれそうですか?
太郎:Googleカレンダーに、繰り返しの設定で毎週決まった時間に「やりたいこと」をやる時間をセットしてしまおうと思います。そこには、「こなす仕事」の予定は入れないようにする。
先生:なるほど。一度、それでやってみるのがいいかもしれませんね。
太郎:そうですね。とりあえずやってみて、どんな気分になるか、先生にまた話します。
先生:わかりました。やりたいことをやるんじゃなくて、まずやりたいことをやる時間だけ設定する。まずは、ここから始めてみましょう。
太郎:はい、またご相談します。
先生:いつでもどうぞ。
やりたいことをやることについて
先生:さて、今日はどんなご相談でしょうか?
太郎:やりたいことを、実際にやることについてです。
先生:そういえば、先日、やりたいことをやってみて、どんな感覚になるのか話をしましょうと言っていましたね。実際、どうだったのでしょうか?
太郎:実は、やりたいことがないというか。。。
先生:そうなのですか。太郎さんには、好きなことがないのでしょうか?
太郎:いえ、本を読むのは大好きです。あと、文章を書くのも好きだし、学んだことを実践してみるのも好きですね。
先生:そうしたら、好きなことがないわけではなさそうですね。でも、好きなことを、やりたいとは思っていない。そういうことでしょうか。
太郎:そうですね。やりたいことの方向性が、いまいち見えてこないというか。
先生:やりたいことの方向性ですか。
太郎:はい。なんだか、ただ漠然と本を読んだり、文章を書いたりするということで良いのかなって。
先生:ほかに必要なことがあるような気がしますか?
太郎:なんだろう。役に立っているのかなって、そこが気になっているのかもしれません。
先生:好きなだけではなくて、役に立つかどうかも気になるのですね。
太郎:そうですね。「好きかどうか」と「役に立つかどうか」の2つの軸で考えたいのかもしれません。
先生:そうですか。そして、太郎さんが「やりたいこと」は、どれになるのでしょうか?2つの軸で考えるのだから、4つの象限ができるはずですね。
太郎:それぞれについて、あえて具体的な例を書き出すと、こんな感じかなあ。
① 好き+役立つ:仕事で今よりも効果的な方法について考える
② 嫌い+役立つ:他人が必要としている知識を教えるための文章を書く
③ 好き+無意味:好きなように文章を読んだり書いたり、奥さんと映画を見る
④ 嫌い+無意味:細かい事務作業のケアレスミスを直す、飲み会に出席する
先生:太郎さんが「やりたいこと」は、①〜④のうち、どれなのでしょうか?
太郎:①と③です。そうかあ。もしかしたら、②をやらないといけないんじゃないかと思っていたのかもしれない。でも「嫌い」だから、わざわざやろうとは思わなかったのかも。
先生:そうかもしれませんね。太郎さんが「やりたいこと」は①と③ですが、このうち、もっと出来たら良いなと思っていることはあるでしょうか?
太郎:①ですね。仕事でルーティンを回すのは当然のことなのですが、もっと改善したいです。アイディアをたくさん出して、実行して、目に見える成果を出したい。プライベートではそんなこと全然思わないんですけど、仕事になると、そういう意識が湧いてきますね。
先生:そうですか。ところで、②に「文章を書く」というのが入っていますが、これは③とは別なのでしょうか?
太郎:そうですね、違う感じがします。だって、他人の意図を汲み取った文章って、別に「書きたい」って思ってないですもん。自分の興味の赴くままに書きたいのに、他人が知りたい知識について調べるなんて。それって調査活動にすぎないという気がしますね。仕事なら良いんですけど。
先生:なるほど。ところで、「仕事なら良い」という言葉の意味は、仕事じゃなかったらやらない、ということでしょうか?
太郎:そうですね。仕事をしなくても良いということであれば、あえて②と④の作業はやらないです。①と③だけやっていると思います。
先生:そうすると、①は「仕事」ではないのですね。
太郎:そうですね、好きだからやってしまう、ということだと思います。与えられた環境の中で、「こうしたらうまくいくんじゃないか」とか「もっとうまくやる方法はないのか」と考えて、実際にやってみて、効果が上がるというその過程の中に自分を置くのが楽しいんです。
先生:なるほど。でも、だいぶ太郎さんが「やりたいこと」は明確になった感じがしますね。
太郎:はい、そんな気がします。自分の意に背いて②をやろうとしていたのが問題でした。
先生:大丈夫ですよ。むしろ、ちゃんと気づけたのですから大成功です。今日はこれで時間になりましたが、次は具体的に①と③をやってみましょう。ただ、それを具体的にやるためにはどうすればいいのかを、一緒に考えてみるというのはいかがでしょうか。
太郎:はい、そうしていただけると助かります。次回が楽しみです。
先生:それは良かった。私も楽しみにしています。それでは、また次の機会に。
太郎:はい、ありがとうございます。
夫婦で話すということ
先生:さて、今日はどのようなご相談でしょうか?
明子:先日、久しぶりに大学時代の友達と会ったら、つい最近、離婚したんだそうです。
先生:そうですか。混みいった話になりそうですね。友達のお名前は?
明子:亜美っていいます。すごく仲良くしている友達なので、なんだか切ないです。
先生:そうですね。結婚相手については、明子さんは知っていたのですか?
明子:ええ、結婚する前に、亜美が紹介してくれたんです。隆さんだったかな?いい人だなって思ったんですけど。
先生:亜美さんは、隆さんについて、明子さんに何か話をしたのですか?
明子:そうですね。ここ1年ぐらい、亜美は一人暮らしをしてたって言ってました。
先生:一人暮らしですか?
明子:隆さんがいつも深夜帰りで、休日も仕事をしていたので、話が全くできなかったそうです。
先生:そうだったんですか。そのことについて、亜美さんはどう思っていたのでしょうか。
明子:亜美は話がしたかったんです。でも、時間を見つけて話をしようとしても「今は仕事が大事だ」っていうことになってしまったみたいで。頑固な人だったみたいです。
先生:頑固ですか。
明子:でも、それって頑固ってことじゃないと思うんです。単純に、明子のことを理解するつもりが無かったんじゃないかな。
先生:どういうことでしょうか?
明子:だって、本当に好きな人がSOSを出してたら、大変だって思って助けるんじゃないですか?
先生:たしかに、亜美さんは二人の関係についてSOSを出していたのかもしれません。
明子:結婚するって、この人と家庭を育もうっていうことだし、子供を産むことも意識はするわけじゃないですか。そのときも、いざ子供を産んだときに、彼が助けてくれるかどうかはすごく大切なことです。
先生:赤ちゃんの世話をしてくれるかどうかが大切なんですね。
明子:いや、赤ちゃんの世話だけじゃないんです。そうやって助けてくれるということが、私のことも見てくれてるっていう安心感にもつながるわけだし。
先生:家庭を育むためには「今は仕事が大事だ」では片付けられないことがわるわけですね。
明子:亜美は、彼が仕事に没頭して自分の話を聴いてくれないのを見て、この人と「家庭」を育むのは無理だって思ったんじゃないかな。
先生:お金があれば良い、ということにはならなさそうですね。
明子:そんな気がします。亜美だって離婚したくなかったんだと思うし。でも、それぐらい重要なことなんです。自分のことを大切にしてくれる人と一緒じゃないと、家族にはなれないですよ。
先生:そうですね。今日はこれで時間になってしまったけれど、今日は明子さん自身の話ができていませんね。だから、次回は明子さんにとっての家族について考えてみましょう。
明子:そうですね。私もいい結婚がしたいです。
先生:大丈夫、自分にとって素敵だと思える男性をまずは思い描きましょう。話はそこからです。
明子:そうですね。またすぐきます。今日は愚痴みたいになってすみません。
先生:いいんですよ。それでは、また次回に。