やりたいことをやることについて

先生:さて、今日はどんなご相談でしょうか?

太郎:やりたいことを、実際にやることについてです。

先生:そういえば、先日、やりたいことをやってみて、どんな感覚になるのか話をしましょうと言っていましたね。実際、どうだったのでしょうか?

太郎:実は、やりたいことがないというか。。。

先生:そうなのですか。太郎さんには、好きなことがないのでしょうか?

太郎:いえ、本を読むのは大好きです。あと、文章を書くのも好きだし、学んだことを実践してみるのも好きですね。

先生:そうしたら、好きなことがないわけではなさそうですね。でも、好きなことを、やりたいとは思っていない。そういうことでしょうか。

太郎:そうですね。やりたいことの方向性が、いまいち見えてこないというか。

先生:やりたいことの方向性ですか。

太郎:はい。なんだか、ただ漠然と本を読んだり、文章を書いたりするということで良いのかなって。

先生:ほかに必要なことがあるような気がしますか?

太郎:なんだろう。役に立っているのかなって、そこが気になっているのかもしれません。

先生:好きなだけではなくて、役に立つかどうかも気になるのですね。

太郎:そうですね。「好きかどうか」と「役に立つかどうか」の2つの軸で考えたいのかもしれません。

先生:そうですか。そして、太郎さんが「やりたいこと」は、どれになるのでしょうか?2つの軸で考えるのだから、4つの象限ができるはずですね。

太郎:それぞれについて、あえて具体的な例を書き出すと、こんな感じかなあ。

 

① 好き+役立つ:仕事で今よりも効果的な方法について考える

② 嫌い+役立つ:他人が必要としている知識を教えるための文章を書く

③ 好き+無意味:好きなように文章を読んだり書いたり、奥さんと映画を見る

④ 嫌い+無意味:細かい事務作業のケアレスミスを直す、飲み会に出席する

 

先生:太郎さんが「やりたいこと」は、①〜④のうち、どれなのでしょうか?

太郎:①と③です。そうかあ。もしかしたら、②をやらないといけないんじゃないかと思っていたのかもしれない。でも「嫌い」だから、わざわざやろうとは思わなかったのかも。

先生:そうかもしれませんね。太郎さんが「やりたいこと」は①と③ですが、このうち、もっと出来たら良いなと思っていることはあるでしょうか?

太郎:①ですね。仕事でルーティンを回すのは当然のことなのですが、もっと改善したいです。アイディアをたくさん出して、実行して、目に見える成果を出したい。プライベートではそんなこと全然思わないんですけど、仕事になると、そういう意識が湧いてきますね。

先生:そうですか。ところで、②に「文章を書く」というのが入っていますが、これは③とは別なのでしょうか?

太郎:そうですね、違う感じがします。だって、他人の意図を汲み取った文章って、別に「書きたい」って思ってないですもん。自分の興味の赴くままに書きたいのに、他人が知りたい知識について調べるなんて。それって調査活動にすぎないという気がしますね。仕事なら良いんですけど。

先生:なるほど。ところで、「仕事なら良い」という言葉の意味は、仕事じゃなかったらやらない、ということでしょうか?

太郎:そうですね。仕事をしなくても良いということであれば、あえて②と④の作業はやらないです。①と③だけやっていると思います。

先生:そうすると、①は「仕事」ではないのですね。

太郎:そうですね、好きだからやってしまう、ということだと思います。与えられた環境の中で、「こうしたらうまくいくんじゃないか」とか「もっとうまくやる方法はないのか」と考えて、実際にやってみて、効果が上がるというその過程の中に自分を置くのが楽しいんです。

先生:なるほど。でも、だいぶ太郎さんが「やりたいこと」は明確になった感じがしますね。

太郎:はい、そんな気がします。自分の意に背いて②をやろうとしていたのが問題でした。

先生:大丈夫ですよ。むしろ、ちゃんと気づけたのですから大成功です。今日はこれで時間になりましたが、次は具体的に①と③をやってみましょう。ただ、それを具体的にやるためにはどうすればいいのかを、一緒に考えてみるというのはいかがでしょうか。

太郎:はい、そうしていただけると助かります。次回が楽しみです。

先生:それは良かった。私も楽しみにしています。それでは、また次の機会に。

太郎:はい、ありがとうございます。