やりたいことを言うことについて

先生:さて、今日はどのようなご相談でしょうか?

太郎:以前、先生に相談したことです。やりたいことについてですね。

先生:やりたいことですか。そういえば、太郎さんは奥さんに自分がやりたいことをうまく言えないことに悩んでいらっしゃいました。

太郎:そうですね。

先生:そして、太郎さんは、奥さんに自分のやりたいことを伝えてみようとおっしゃっていましたね。

太郎:はい、そうです。

先生:どうでしたか?

太郎:実は、まだうまく言えないんです。すみません。

先生:大丈夫ですよ。失敗という言葉は「チャンス」に置き換えてみてください。太郎さんは奥さんにうまく言えなかったのだから、これは「チャンス」ですね。どんなチャンスがあると思いますか?

太郎:奥さんにやりたいことをうまく言えない理由がわかるチャンス、ですかね。

先生:そうですね。それで、太郎さんはやりたいことを奥さんに伝えようとは思ったのでしょうか?

太郎:はい、思いました。でも、やっぱり「言ってはいけない」という感じというか、胸のどこかでつっかえる感じがします。

先生:実際は、何と言おうと思っていたのですか?

太郎:そうですね。たとえば、一緒にいるときの過ごし方についてでしょうか?

先生:過ごし方ですか。

太郎:たとえば、僕はリズムが重要だったりするんです。朝は早く起きて本を読むとか。

先生:それができていないのですか?

太郎:奥さんとは、休日は朝の9時頃までベッドでゆっくりしていることが多いですね。

先生:太郎さんは、それが嫌なのですか?

太郎:いえ、それも幸せな時間なんです。彼女と一緒だからこその時間の使い方だと思っています。

先生:そうなんですね。「幸せな時間」と「やりたいこと」は別なのでしょうか?

太郎:別なんじゃないかと思います。「幸せな時間」は、そこにとどまっていたいなあという感じがします。「やりたいこと」は、もっと前に進みたいなあという感じでしょうか。

先生:太郎さんは、どちらの感覚も好きなのでしょうか?

太郎:そうですね、好きです。だから、バランスがとりたいということなのかもしれません。

先生:バランスですか?

太郎:たとえば、朝に「やりたいこと」をやる。昼は「幸せな時間」を過ごす。夕方に「やりたいこと」をやって、夜は「幸せな時間」を過ごすとか。

先生:そうすると、奥さんには何と言えば良さそうでしょうか?

太郎:完璧にやるのはむずかしいと思います。だから、まずは朝に「やりたいこと」をやってもいいかな、と伝えてみようと思います。

先生:彼女は、そのことについて、どんなふうに受け止めてくれると思いますか?

太郎:奥さんは、僕がやりたいことを大切にしてくれる人なので「いいよ」と言ってくれると思います。それに、僕が「やりたいこと」をやることで、二人の「幸せな時間」はもっと楽しくなると思います。

先生:もっと楽しくなるのですか?

太郎:そうだと思います。僕は「やりたいこと」ができているから満足だし、だからこそ「幸せな時間」に集中しようって思えるはずです。

先生:なるほど。どちらも、太郎さんにとって大切な時間なのですね。

太郎:そうですね。どちらも大切です。

先生:そしたら、まずは朝に「やりたいこと」をやってみたいと彼女に言ってみることから始めてみましょう。そうして、実際にやってみて、どんな感じがするか、また教えてくれると嬉しいです。

太郎:そうですね、やってみます。「やりたいこと」は、何でも良いのですか?

先生:はい、なんでも大丈夫ですよ。運動でもいいし、勉強でもいいし。それこそ「ああ、今はこれがやりたい」と思うことを心が赴くままにやってみるのが良いと思います。

太郎:わかりました。やってみます。

先生:太郎さんは真面目だから、念のために改めて言っておきますね。失敗したと思ったら・・・

太郎:チャンスという言葉に置き換えればいいんですよね。

先生:ご名答。それでは、時間になりましたから、今日はおしまいにしましょう。また相談したいことができたら、いらしてください。

太郎:ありがとうございます。