セックスについて②
先生:さて、今日はどのようなご相談でしょうか?
太郎:今日は、先日お話をしていたセックスについてですね。
先生:奥様とのご関係についてですね。太郎さんは、奥さんの子供が欲しいという気持ちに応えたいのだけれど、それについては自分の性欲が問題なのだとおっしゃっていました。
太郎:そうですね。ムラムラとしたときに、現実にセックスをしなくても、アダルトビデオを見て一人で処理できれば十分だと考えがちで、自然体でうまくいかないというのが悩みでした。
先生:そうでしたね。悩みを解消する上で、思いつきで構いませんから「こうしたらどうかな?」というアイディアが具体的にあったりするのでしょうか?
太郎:シンプルなのは「アダルトビデオを見るのをやめる」という方法です。でも、だからといってセックスをするようになるわけではないと思います。
先生:それは、どうしてでしょうか。
太郎:奥さんと一緒に過ごしているときは、別にアダルトビデオを見ているわけではありませんから。むしろ、一緒にいるときは、ソファで映画やドラマを鑑賞することで十分に幸せなんです。
先生:なるほど。それでは、映画やドラマを鑑賞するのをやめたら、どうなるのでしょうか?
太郎:ヒマになるのではないでしょうか。
先生:あっはっは(笑)セックスをするということにはならないのですね。でも、俗説にすぎませんが、暇つぶしの手段が少ないとセックスをするという考え方もありますよね?
太郎:それは一理あると思います。でも、実際のところ、あえて暇つぶしの手段を制限しているだけなのだとしたら「ちょっと映画を観ちゃおうかな」とすぐに元に戻ることができてしまいます。それでは、根本的な解決にはならないような気がしますね。
先生:そうですね。何かを制限するという方法は、どうやら効果的ではなさそうです。
太郎:はい、そんな気がします。
先生:それでは、ストレートに性欲と向き合うのが良さそうでしょうか?
太郎:そうですね。性欲と向き合うというよりも、奥さんとどう向き合うか、なのかな。
先生:「性欲」と「セックス」は、ちがうものだという感じがするのでしょうか?
太郎:性欲って「処理」できるものだと思います。でも、セックスって「処理」できない感じがするというか。
先生:なるほど。処理という言葉から、太郎さんはどんなイメージを抱くのでしょうか?
太郎:たぶん、処理するっていうことは「もういらない」っていうことだと思うんですね。でも、奥さんとの関係って「もういらない」っていうことではないんだと思うんです。
先生:なるほど。夫婦の関係は、ずっと続きますからね。
太郎:だから、セックスについては、性欲を処理する以外の大切な意味があるような気がしています。もちろん、性欲は重要な要素です。でも、それだけが目的なのだとしたら、性欲を刺激する手段としてセックスは必ずしも効果的な手段にはならないと思いますね。
先生:そうすると、太郎さんの悩みは、セックスをするときに「性欲を処理する」という以外の意味を具体的に見出すことだということなのでしょうね。
太郎:はい、そうなんだと思います。
先生:それでは、今日は時間になりましたから、次回はセックスの持つ意味について、一緒に考えていくことにしましょう。
太郎:わかりました。僕も自分なりに考えてみることにします。
先生:ええ、お願いします。ただし・・・
太郎:真面目にやりすぎないように、ですよね。
先生:そうですね。それでは、またお会いするときに。
太郎:ありがとうございます。