セックスについて

先生:さて、今日はどんなご相談でしょうか?

太郎:セックスについてですね。

先生:そうですか。少しセンシティブな話題でもありますから、無理のない範囲で結構ですよ。

太郎:いえ、重要な問題だと思うので、自分が思うところを話せればと思っています。実は、ここ3週間ほど、奥さんとエッチをしていません。

先生:そうなのですか。それについて、どのように感じますか?

太郎:実は、それでも幸せなのです。罪悪感があるわけでもない。

先生:こんなことを聞いても良いか分かりませんが、太郎さんは性欲はあるほうだと思いますか?

太郎:性欲は、さほど強くないと思っています。僕の中では、どうしても女性とエッチがしたい人は性欲が強い。一方で、アダルトビデオを見て一人で処理ができれば十分だという人は、性欲は強くないのではないかと。

先生:太郎さんは、どうしても女性とエッチをしたいというわけではないのですか?

太郎:そうですね。アダルトビデオをみて一人で処理ができれば十分だと思っているところがあります。

先生:でも、それが「重要な問題」だと思っているのですね。

太郎:奥さんと子供をつくる予定なんです。できれば、来年までに子供をつくりたいなあと思っています。

先生:太郎さんは子供が欲しいのですか?

太郎:いえ、子供は好きなのですが、子供を欲しいと思ったことは今までありません。

先生:そうなんですね。それでも、子供を「つくりたい」というのは、どういうことでしょうか?

太郎:奥さんは子供が欲しいのだと思うし、奥さんの両親には孫の顔を見せてあげたいなあと思っているからですね。でも、僕自身は、あまり子供に興味がないんです。

先生:そうなんですね。性欲については、アダルトビデオを見て一人で処理ができれば十分。子供を積極的につくりたいとも思っていない。そしたら、エッチはしなくなるかもしれないですね。

太郎:でも、僕はそれでも奥さんと一緒にいると幸せなんです。それに、奥さんのことを性的な対象として見ることができないとか、そういう話でもないんです。

先生:アダルトビデオを見るよりも、現実にエッチをしたほうが良いということにもならない?

太郎:どうだろう。アダルトビデオって、鑑賞する対象を毎日のように変えることができますよね。常に新しいモノと出逢うことになるので、興奮している状態をつくりやすいから、そのぶん気楽なんだと思います。

先生:なるほど。たしかに、アダルトビデオのほうが性欲の処理の方法としては気楽なのかもしれませんね。

太郎:ちょっと過激な表現をすれば、アダルトビデオは、僕の浮気の防止に役立っているところがあるのかもしれません。

先生:どういうことでしょうか?

太郎:結局のところ、男性の浮気は「この性欲を何とかしたいな」とムラムラしたときに、現実にエッチをするという手段でなければ満足できないのか、それともアダルトビデオを鑑賞するという手段で十分なのか、という違いに過ぎないかもしれないと思うんです。

先生:あれ?そうすると、太郎さんは実は浮気がしたいのでしょうか?それはそれで興味深いのですが。

太郎:いえ、浮気をしたいと思ったことはないですね。ただ「この性欲を何とかしたいな」と思ったときに、風俗に行ったり、出会い系サイトを使うのではなくて、アダルトビデオを見ることができれば十分で、それが終わったら「奥さんとの幸せな時間」が戻ってくるという感覚でしょうか。

先生:そうすると、太郎さんの中で、セックスは夫婦の関係の中であまり重要なことではないという感覚なのでしょうか?

太郎:先生、それがまさに僕が相談したいことなんです。奥さんは、僕にセックスは私にとって大切だと言ってくれるんです。僕もそう思いたいんです。でも、僕はそれよりも奥さんと映画やドラマを一緒に見るほうが楽しいと思うことがあるんです。

先生:そうなんですか。

太郎:でも、そしたらセックスレスになってしまうし、子供も産まれない。そしたら、奥さんがやりたいことを応援できなくなってしまいます。奥さんは僕のことをすごく応援してくれるのに、なんだか不公平じゃないか。そう思って、相談に来たのです。

先生:太郎さんは、性欲についてはアダルトビデオ観賞で十分だと思っている。でも、奥さんのやりたいことも応援してあげたい。そういうことでしょうか?

太郎:そうですね。奥さんのやりたいことを応援するときに、どうしても僕の「性欲」が問題になってしまう。これをどうすれば良いか考えてみたいんです。

先生:そうですね。今日はこれで時間になってしまったのでおしまいにしますが、次回は太郎さんの問題意識に寄り添って、太郎さんがどうしたいのかを一緒に考えてみましょう。

太郎:そうしていただけると助かります。夫婦にとってとても大切な問題だと思っているので、よろしくお願いします。

先生:こちらこそ、センシティブな問題なのにありがとうございます。それでは、また次回を楽しみにしています。

太郎:はい、ありがとうございます。